5/12/2014

NCSTプログラム

僕の任地カロンガもだんだんと過ごしやすくなってきました。

私生活も活動も全開な、やまたつです。


今回は活動紹介を、、少し長くなりますが。

現在、マラウイでは僕の所属するカロンガ県病院と南部のバラカ県病院を拠点に、NCST (Nutrition Care Support Treatment)というプログラムを実施しています。

簡単に内容を説明しますと、、低栄養の患者を対象にChiponde(チポンデ)というピーナッツペーストのような栄養補助食品を与え、栄養状態を回復させるというものです。

もう少し詳しく説明しますね。

まず、対象の部署に来院した患者の身体アセスメントをして、BMI及びMUACにて栄養状態を評価します。

その後、BMI18.4以下の患者を対象にNCSTプログラム適応となります。

その患者には2週間分のChiponde(朝1、昼1、夕1の合計3パック)42パックが渡されます。

これがChiponde↓
 


2週間後に再度来院してもらい、BMIを測って評価します。

BMI18.5以上になればこのプログラム終了ですが、そうでない場合は継続して2週間続けられます。

3か月継続しても改善しない場合はクリニシャン(正式な医師免許を持っていないが、医療行為をしている)が診察をし、今後のプランを再考する、というものです。


僕もこのプログラムに関わっていますが、課題は山積みです。

1、管理が雑
病院内どの部署もそうですが、備品・書類すべての管理が全然ダメです。NCSTの場合、月1回(これも不定期ですが)段ボールで大量にChipondeが運ばれてきます。一応ざっくりと何箱届いて、日々何箱消費したかを記録しているのですが、たまに職員が勝手に持って帰ったり仕事場で食べてたりするので、すべてが患者のために消費されているとは限りません。というか、患者用の食品を職員が職場で堂々と食べているのが信じられません。誰も咎めないんです。。

2、アセスメントが雑
これまたどの部署も課題ですが、患者アセスメントがほんとに雑です。ある患者は身長・体重・BMIを測っているのに、ある患者は測ってない。もしくは計算ミスをしている。それにスタッフも気付かず、本当はプログラムに入れるべき患者を見落とすこともしばしばあります。しかも、アセスメント用紙の使い方も下の写真みたいな感じです。うーん、読みにくい。。
 


3、患者自身に問題あり
これが一番大きな問題かもしれません。実際に自分で確かめたわけではないので何とも言えませんが、このChipondeを患者が近所に売っているという現状があるみたいです。それじゃ何も意味ありません。患者が摂取していなければ栄養状態が改善するはずもありません。このChiponde、無料でもらえるものなので売ってしまえばそのまま利益になります。ここにも援助というものが引き起こす問題があります。しかもスタッフもここに関して患者に追求しません、というか流れ作業のごとくアセスメントしてChipondeあげて帰すみたいな感じになっています。
また、家族が多い患者の場合、兄弟や子供にあげている場合もあり得ます。あくまで推測ですが、栄養状態の悪い人が家族にいる場合、その家庭の経済状況が悪いか、食材のストックが無いかということが挙げられます。家族の多い患者は当然ながら家族みんな十分に食べることができていない可能性があります。はたして、患者だけがChipondeを食べているのでしょうか?シェア文化のマラウイではChipondeを家族で分けている可能性も十分に考えられます。

4、Chipondeの栄養成分
下の写真を見てもらえばわかると思いますが、どこかおかしくないですか?このChipondeを摂取するのは低栄養の患者、それにしては脂質の含有量が多い気がします。もちろん高カロリー食品にするうえで脂質を多くするのが一番効果的ですが、低栄養の患者向けには良いことなのでしょうか?脂質は消化するのに時間がかかり、消化管に負担が大きくなります。まして、低栄養の患者には負担が大きく、下痢を起こす患者も多くいるのも事実です。下痢してたら栄養の吸収ができていないので、本末転倒な気もしますが。。
 

課題はまだまだありますが、大きく分けてこの4つ。

まずはアセスメント用紙を少しアレンジし、スタッフのトレーニングを実施してアセスメントの向上をはかります。

このプログラム、どうなるやら。。

鍵はスタッフの意識だと思います。


~今回のレシピ~
人の行動を変える前に、意識を変える


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