5/25/2014

感染宣告

マラウイ大統領選挙のため、首都に退避していますが、なかなかこの選挙の終わりが見えません。

今月中には任地に帰りたい、やまたつです。


この退避期間に【感染宣告】という本を読みました。

石井光太さんという作家は僕が好きなノンフィクション作家のひとりです。

HIV/AIDSの患者さんへのインタビューを通して、この病気と共に生きる人やその周りを描写した本です。

印象に残っている文をいくつか書いてみたいと思います。

・HIV感染者が100人いれば、100通りの人生がある。感染を知ってから、何を失い、どういう道を選択していくかは、人それぞれだ。

・HIV感染症は、ウイルスそのものではなく、ウイルスが人間の醜悪な部分をことごとくあらわにして極限にまで追いつめることに恐ろしさがあるのだ。

・患者は死んだら終わり。けど、遺された者はその後もずっとHIVと関わっていかなければならないのです。

・夫婦が夫婦を演じようとするとき、必ず守らなければならない秘密というものがあります。私たちにとって、HIVの感染源こそがそれなのです。

・HIVとは何か。。改めて尋ねられると、どう答えていいのかわからない。HIVには感染したことで、多くのものを失ったけど、同時に得たものも少なからずあったような気がする。少なくとも、HIVに感染したとわかって見えてきたものはあった。それが何なのかは、僕なりに考えていけばいいことだと思う。良かったか悪かったかはそのときどきの状況次第だと思うんだ。僕としては、それをできるだけ前向きに捉えていくことしかできないんだから。

・現在、HIV感染症は、医療者の間では糖尿病と同じような慢性疾患の一つとしてしかとらえられていない。適切なケアを受けていれば、死に至ることはないし、赤ちゃんを生むこともできるし、感染率もゼロ近くまで抑えられる。にもかかわらず、かかわった人々の人生を大きく揺さぶるのは、HIVが性行為を通してうつるものだからだろう。性行為は人と人を結びつけるのに大切な役割を持つ。人々はウイルスによってその人間関係を試されたり、破壊されたりする事実に震えあがり、過大な恐怖を抱く。「エイズなんだから、抱いて」と乞われても拒絶してしまう。ゆえに感染者も取り乱し、自ら破滅の道を辿ってしまうことがある。


この病気はどうしても偏見を生みやすい、なぜなら、同性愛者の間で増加している背景があるからでしょう。

男性同士の性行為においての感染率が高いのです。

そして、日本では未だにHIV/AIDSを身近に感じていないということも、偏見や差別を生む原因ではないでしょうか?

まずは正しい知識を持ち、しっかりと予防することが大切です。

また、自分のHIVステータスを知ることも重要です。

保健所で匿名にてできますので、まずは検査を。

この病気は失うものが多すぎると、この本を通して思いました。


~今回のレシピ~
失うことは簡単、取り戻すのは難しい


感染宣告↓

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5/15/2014

急ぐな、歩け!

季節の変わり目だからなのか、鼻水と咳が。。

今日は自宅療養の、やまたつです。


気が付いたら2014年も5月に入り、任地カロンガもだんだんと過ごしやすい季節になってきました。

6月~8月くらいが気温も暑すぎず、晴天続きなのでカロンガ訪問にはちょうどいいと思います。

ぜひ、来てくださいね!

さて、活動の方は任期が残り10か月となり、やや焦りを感じています。

現地の人と一緒に考え、いろいろとやってきましたが、軌道に乗っているものは数知れず。。

本当に継続の難しさを痛感する日々です。

ボランティアは、成果を出すことが目的ではない。

と、訓練所の頃から言われてますが、どうも自分では納得いっていません。

日本の皆さんの税金が僕らの活動資金となっているのは事実。

どうしても何か自分がマラウイでできることをやって、2年の任期を全うしたいと思うわけです。

でも、マラウイで進む時間はとってものんびりで、でも気付けば夕方になってて一日が終わる。

あれが問題だ、これが問題だと言いながら、行動しないスタッフに対してイライラ。

ここらで初心にかえり、ペースを落としていかないとダメですね。

自分、視野が狭くなっていたと思います。

マラウイでは今月の20日が大統領選挙のため、僕らJOCVは全員首都へ退避となります。

約10日間も引き籠らなければいけないので、これを機に活動計画を練り直してみたいと思います。

タイトルにもある通り"急ぐな、歩け!"を今後の指針としていきます。


~今回のレシピ~
急ぐな、歩け!


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5/12/2014

NCSTプログラム

僕の任地カロンガもだんだんと過ごしやすくなってきました。

私生活も活動も全開な、やまたつです。


今回は活動紹介を、、少し長くなりますが。

現在、マラウイでは僕の所属するカロンガ県病院と南部のバラカ県病院を拠点に、NCST (Nutrition Care Support Treatment)というプログラムを実施しています。

簡単に内容を説明しますと、、低栄養の患者を対象にChiponde(チポンデ)というピーナッツペーストのような栄養補助食品を与え、栄養状態を回復させるというものです。

もう少し詳しく説明しますね。

まず、対象の部署に来院した患者の身体アセスメントをして、BMI及びMUACにて栄養状態を評価します。

その後、BMI18.4以下の患者を対象にNCSTプログラム適応となります。

その患者には2週間分のChiponde(朝1、昼1、夕1の合計3パック)42パックが渡されます。

これがChiponde↓
 


2週間後に再度来院してもらい、BMIを測って評価します。

BMI18.5以上になればこのプログラム終了ですが、そうでない場合は継続して2週間続けられます。

3か月継続しても改善しない場合はクリニシャン(正式な医師免許を持っていないが、医療行為をしている)が診察をし、今後のプランを再考する、というものです。


僕もこのプログラムに関わっていますが、課題は山積みです。

1、管理が雑
病院内どの部署もそうですが、備品・書類すべての管理が全然ダメです。NCSTの場合、月1回(これも不定期ですが)段ボールで大量にChipondeが運ばれてきます。一応ざっくりと何箱届いて、日々何箱消費したかを記録しているのですが、たまに職員が勝手に持って帰ったり仕事場で食べてたりするので、すべてが患者のために消費されているとは限りません。というか、患者用の食品を職員が職場で堂々と食べているのが信じられません。誰も咎めないんです。。

2、アセスメントが雑
これまたどの部署も課題ですが、患者アセスメントがほんとに雑です。ある患者は身長・体重・BMIを測っているのに、ある患者は測ってない。もしくは計算ミスをしている。それにスタッフも気付かず、本当はプログラムに入れるべき患者を見落とすこともしばしばあります。しかも、アセスメント用紙の使い方も下の写真みたいな感じです。うーん、読みにくい。。
 


3、患者自身に問題あり
これが一番大きな問題かもしれません。実際に自分で確かめたわけではないので何とも言えませんが、このChipondeを患者が近所に売っているという現状があるみたいです。それじゃ何も意味ありません。患者が摂取していなければ栄養状態が改善するはずもありません。このChiponde、無料でもらえるものなので売ってしまえばそのまま利益になります。ここにも援助というものが引き起こす問題があります。しかもスタッフもここに関して患者に追求しません、というか流れ作業のごとくアセスメントしてChipondeあげて帰すみたいな感じになっています。
また、家族が多い患者の場合、兄弟や子供にあげている場合もあり得ます。あくまで推測ですが、栄養状態の悪い人が家族にいる場合、その家庭の経済状況が悪いか、食材のストックが無いかということが挙げられます。家族の多い患者は当然ながら家族みんな十分に食べることができていない可能性があります。はたして、患者だけがChipondeを食べているのでしょうか?シェア文化のマラウイではChipondeを家族で分けている可能性も十分に考えられます。

4、Chipondeの栄養成分
下の写真を見てもらえばわかると思いますが、どこかおかしくないですか?このChipondeを摂取するのは低栄養の患者、それにしては脂質の含有量が多い気がします。もちろん高カロリー食品にするうえで脂質を多くするのが一番効果的ですが、低栄養の患者向けには良いことなのでしょうか?脂質は消化するのに時間がかかり、消化管に負担が大きくなります。まして、低栄養の患者には負担が大きく、下痢を起こす患者も多くいるのも事実です。下痢してたら栄養の吸収ができていないので、本末転倒な気もしますが。。
 

課題はまだまだありますが、大きく分けてこの4つ。

まずはアセスメント用紙を少しアレンジし、スタッフのトレーニングを実施してアセスメントの向上をはかります。

このプログラム、どうなるやら。。

鍵はスタッフの意識だと思います。


~今回のレシピ~
人の行動を変える前に、意識を変える


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5/05/2014

行渡らない援助

今日も職場は陽気です。

スタッフは朝から昼までお喋りに華が咲き、昼から帰るまで咲き誇ります。

日本の職場とは全然違う環境に慣れきってしまった、やまたつです。

日本社会に復帰できるだろうか。。


さてさて、今回はマラウイでの援助物資(ドネーション)の問題点を書いてみたいと思います。

まぁ、マラウイだけではないと思いますが。

マラウイはNGOなどいろいろな機関、国から援助を受けています。

資金だったり物資だったり。

もちろん日本もマラウイに援助してますよ。

僕たちJOCVは人材派遣という分野です。

今日、職場で"ありえないこと"がありました。

外来患者のモニタリング用紙がないということで、スタッフが過去の患者の用紙を修正液で消して使おうとしていました↓
 


この用紙はUNICEFが作成協力したもので、マラウイ政府から各病院に送られてきます。

カロンガ県病院ではこの用紙が在庫切れとのこと。

在庫室を探せば出てくると思うのですが、たぶんないんでしょう。

だからって修正液で消して再利用しようだなんて。。

問題は病院の管理にあると思いますが、援助する側にも責任があると思います。

UNICEFのことをとやかく言うつもりはありませんが、途上国の管理体制やインフラの問題は大いに予想できると思います。

末端まで行渡らない援助は、何のためにあるのでしょう。

資金援助は腐敗した政府の役人が自分のポケットに入れ、末端まで行かず。

物資援助はインフラや管理の問題で行渡らず。

援助する側は想定できる問題も考慮したうえで、援助しなくてはいけないと思います。

資金、物ををあげて終わりではあまりにも雑過ぎます。

問題の大部分は援助した後に発生しているのです。

問題の本質を見極めることは、難しいことです。

でも、そこを疎かにして問題解決はありえません。

僕はJOCVとしてどんな問題を解決へ導くことができるのか。

まだまだ実行と考察・修正の繰り返しですが、少しずつでも実っていけばいいと思います。

あと、付け加えますが、日本でできる募金にも少しだけ気を配ってみてください。

自分が募金したお金がその団体の活動資金として使われている、というのが普通ですが、いろいろと仕組みが存在します。

募金する団体も選んだ方が良さそうです。

僕は某NGOに募金をしたことがありましたが、みごとに裏切られていたことが発覚しました。

そのNGOは募金で得た資金を海外の孤児院運営に充てていると言っていましたが、実際にそのようなことはありませんでした。

僕が自分の足で現地に赴き、自分の目で見て、自分で得た情報です。

この事実を知ったときとても衝撃的でした。

それ以降、どの団体にも募金はできなくなりました。

情報を鵜呑みにしないで、自分の頭で考え、実際に目で見てみることは大切です。

援助の先にあるもの、必ずしも光とは限らないということです。


~今回のレシピ~
問題は援助した後に現れる


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5/04/2014

マラウイの日曜日

雨季も終わりに近づき、良い天気の日が多くなってきました。

最近は天気も体調も好調な、やまたつです。


マラウイの日曜日は日本とは違い、街中人通りも少なくなり、静かになります。

それもそのはず、みんな教会へお祈りしに行くからです。

国民の大半がキリスト教のマラウイでは、毎週日曜日は教会の日です。

きれいな格好をして家族で教会へ行きます。

お祈りは教会によってやり方は様々あります。

歌って踊って賑やかなのもあれば、厳粛に聖書朗読や祈りの時間があったり。

そして、教会はマラウイアンにとって、出会いの場でもあるわけです。

男女が教会で出会って、結婚するということがマラウイでは多くあります。

まぁ、あまり人の出入りが多くない村社会では不思議ではないでしょう。

その他、お母さんたちが集まって料理を学んだりもするそうです。

まさに多目的な教会。

さてさて、そして教会へは行かない僕。

何しているかというと、散歩してみたり、近所の子供と遊んだりしてます。

この前は水風船とシャボン玉をして遊びました。

子供たちは初めての遊びに最初は戸惑っていましたが、さすが子供、すぐに慣れて楽しくはしゃいでいました↓
 


シャボン玉への反応は異常でした。

吹いては壊し、吹いては壊し。。

こうゆう体験って子供の頃にたくさんすべきなんだと思います。

日本の子供はたくさんの体験ができます。

選択肢が多いのです。

マラウイの子供は体験できることが少ないです。

僕がJOCVとしてマラウイにいる間は、より多くの新しい体験をさせてあげたいと思います。

そして、日本に帰り、自分にも子供ができたら、たくさんのことを体験させてあげたい。

やっぱり、日曜日は仕事しないで家族の時間として過ごしたいです。


~今回のレシピ~
体験することが勉強の本質

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