10/05/2013

ホスピタリティの欠片

10月に入り、季節の変わり目を感じるようになりました。

週末のビールが一際美味しく感じています、やまたつです。


今週は女性病棟にHIV陽性の患者が入院していました。

彼女はかなり痩せて弱っており、お粥状のものしか食べることができません。

しかも少量。

自分で起き上がることもできず、もう先が長くないことは僕でもわかりました。


現在、僕の所属するキッチンでは治療食を試みています。

その中に"ソフト食"があるので、彼女のために毎食提供していました。

マッシュポテトやお粥など提供できるものは限られてますが、継続が大切なのでスタッフには僕が
言い聞かせていました。

しかし、昨日、あるスタッフが僕が何も言わなくても牛肉と野菜入りのお粥を作って言いました。

「このお粥は栄養あるよね?彼女には栄養が必要だ」、と。

そうやって患者に気を配れることは、この国ではとっても素晴らしいことなのです。

マラウイでは患者の世話は家族がやります。

点滴が空になっても刺さったまま、時間にならないと看護師は患者の様子を見にきません。

ナースステーションでおしゃべりに夢中。

正直、病棟ではホスピタリティなんて微塵も感じません。

彼女は点滴が入っている右手が異常に腫れていました。


たぶん点滴がうまく血管に入っておらず、皮下に漏れているんだろうけど、看護師は何もしません。

家族がどうにかできるわけがありません。

その日彼女はお粥を少し口にするので限界でした。

そして、今朝、息を引き取りました。

家族からは本当にいろいろしてくれてありがとうと言われました。

この経験がキッチンスタッフにどう響いたかわかりませんが、少しずつ思いやりをもって仕事してくれることを信じています。

人のことを想い、人の為に働く。

もちろんお金、給料も大切ですが、マラウイの人々がいつの日か、このことに気付いてくれますように。

今後も言葉より態度、経験で示していきたいと思います。


~今回のレシピ~
人を想うこと、それは自分の存在を示すこと

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