自宅のすぐ近くには世界自然遺産のマラウイ湖。
いつも小波に癒されています、やまたつです。
今週は5/27(月)~5/31(金)の日程でマラウイ北部ケータリングスタッフミーティングが行われました。
これは四半期に一度、マラウイ北部のケータリングスタッフ(主に病院のキッチンスタッフ)が集まり、勉強会などのプレゼンをする会議です。
事前からあまり意義の見出せないミーティングだと先輩隊員から聞いていたので、逆に楽しみにしていました。
が、実際に始まってみると本当に意義が見えてこない。
というか何がやりたいのかわからない。。
問題点をざっくりとあげてみると、、
1、開始時間に全員集まらない。
2、プレゼン資料をPCのパワーポイントで作成しているが、会議室に電源がなくて使えない。
3、電源が確保できたが、プロジェクターが動かない。(2日目以降は別のプロジェクターを使用したので大丈夫でした)
4、プレゼンが割り当てられてるのに何も準備してこない人がいる。
5、そもそもパワーポイントでのプレゼンのやり方を知らない。
などなど。。
ここはマラウイ、停電とかその他電気のトラブルは想定できると思うが。
みなさんパワーポイントにこだわっていますね。
あと、最大の問題点はプレゼン内容。
FOOD SERVICEについてのプレゼンですが、突っ込みどころが多々ありました。
Flambe(フランベ)とかBuffet(ビュッフェ)なんてプレゼンされてもどうしようもないです。
だってあなた達みんな病院のキッチンスタッフでしょ?
日本の病院でもやってないですよ、そんなこと。
とにかくこんな感じで新しい知識を披露する場になっていました。
そういうことよりもっと先に学ぶべきことがあるように思いますが。
先輩隊員がプレゼンを頼まれていて、行ったのは"栄養価計算"
600gのシマ(マラウイの主食)のカロリーを計算するだけでみんな頭パンクしていました。
とにかくマラウイアンは数字に弱い。
シマ600g作るにはメイズ粉:水を3:7で使います。
栄養価はメイズ粉100g当たりで書いてあるので、シマ600gで計算するのは間違いです。
使用したメイズ粉は180g、これを使って計算するのですが、どうも彼らはここまでたどり着けないようでした。
ね、フランベとかよりも栄養価計算でしょ?
その他にも各病院の特徴や目標、課題を発表するところでも問題が。
僕の所属するカロンガ県病院のプレゼンでは、使ってもいないアセスメントシートが紹介されていたり、糖尿病教室が開設間近であるとか言ってた。
いやいや、できていないことを発表するのはやめましょうよ。
アセスメントなんて身長、体重すら測ってないし、糖尿病教室とかやるならまずは食事を計量するところから習慣つけようよ。
と、いろいろ言いたいことはあるので来週はカウンターパートとディスカッションをしっかりとやってみようと思います。
そして、今回のミーティングで一番衝撃的な出来事は、ルンピ県病院で起きました。
現在ルンピ県病院には1名チューブ栄養の患者がいます。
そこで僕のカウンターパートがチューブ栄養をやってみようと言うのです。
彼はチューブ栄養の何を知っているのか全く不明でした。
もちろんルンピ病院の栄養士隊員は断固反対。
そもそもケータリングスタッフというのは病院の中でも事務職に属しており、チューブ栄養を施行すべきではないし、アセスメントもすべきではありません。
日本で例えるなら総務課(など事務職)の人が病棟で患者のカルテを読み、チューブ栄養を入れる行為も行うということですよ。
大問題ですね。
あくまでケータリングスタッフは医師もしくは看護師がアセスメントした患者に提供する食事を医者もしくは看護師の指示のもと提供するのが仕事なのでは?
僕のカウンターパートはマラウイアンですがかなり仕事ができる方です。
が、ゆえにいろいろなことを学びたがります。
できるかどうか、必要なのかどうかは関係ないのかもしれません。
新しいことが好きなんです、マラウイの人達は。
僕は彼からチューブ栄養の作り方を教えてほしいと言われたので、とりあえずポリッジをもっと裏ごししたのを教えることにしましたが、患者に提供するのは断固拒否しようと思いました。
マラウイでチューブ洗浄がしっかりできるとは思いません。
感染症のリスクが高すぎます。
チューブ栄養より先にやるべきことはたくさんあるのに。。
幸いにも停電になりチューブ栄養はやらずに終わりましたが、彼はやりたそうでした。
I want to try it.
彼は言いましたが、やりたいからやるじゃダメです。
患者は実験台ではないので。
今回のミーティングを通してのまとめを例え話でしていきます。
【宝島】
『宝島を探しに出かけるぞ!』
ある青年たちが『夢』を持って、航海に出ました。小さな一隻の船で。
いざ海に出ると、波は高く、しけもあり何度も何度も死にそうになりました。
最初に持って出た食料もなくなっていき、
「これは俺が保管してたやつだ」
「みんなが苦しんでんだから、皆で分け合うもんだろう」
みんな食べ物をめぐってケンカばかり。
彼らは、宝島に行くという目的が、
いつのまにか『生き延びる』ことに変わっていきました。
そんなとき、
『あっ、食べ物だ』
一個のタルが流れて来ました。
皆で拾い、中を覗きました。
そこには、食べ物はなく、
「一枚の紙」が入っていました
『やった!宝島の地図だ!』
みんなで大喜び
青年たちは希望を持って進みはじめようとしました
しかし、宝島に向かうことはできませんでした、、
なぜ、宝島に向かうことができなかったのか?(永松茂久さんの著書より抜粋)
わかりますか?
答えは"彼らは自分たちの現在地がわからなかった"です。
青年たち=ケータリングスタッフたち
宝島=目標
宝島への地図=僕らJOCV
彼らは自分たちの職場のクオリティを高めようと5Sや糖尿病教室をはじめ様々な目標を立てています。
ですがそれらの目標は理想型にすぎず、ミーティングは新しい知識の披露宴となっている。
そこへ僕たちJOCVが派遣され、目標への道筋が見えたと思い、彼らは僕たちにいろいろと高度な知識の提供を申し出ます。
なので僕たちは糖尿病などのことを教えますが、そもそもアセスメントさえ出来ていないところに糖尿病の栄養管理など到底無理です。
彼らは自分たちの現在地をまずは知るべきなのではないでしょうか。
まずはアセスメント(身長、体重、BMI、MUAC)がしっかりとできて、食事の計量ができない限り糖尿病教室はありません。
もちろんアセスメントは看護師かクリニシャン(国際的な医師免許を持っていないが医療系の大学卒業していて、実際マラウイでは診察をしている)にやってもらいます。
プライドの高いマラウイアンにどうやってアプローチしていこうか検討中ですが、さっそく来週から動いていこうと思います。
長くなりましたが、振り返りでした。
Pepani....
~今回のレシピ~
自己満足よりも相手満足を。